2024.11.01
水掛け論を防ぐ!医療・介護施設での『言った・言わない』問題の解決方法
医療・介護施設では、日々、数多くの情報のやり取りが行われています。その中で最も頭を悩ませる問題の一つが、「言った・言わない」の水掛け論です。患者さんの状態変化や業務の引き継ぎなど、重要な情報が適切に伝わっていないことによるトラブルは、施設運営において深刻な問題となっています。本コラムでは、この「水掛け論」の問題について、その実態から解決策まで詳しく解説していきます。
現場で頻発する水掛け論の実態
医療・介護施設では、24時間体制での業務が行われており、シフト制による引き継ぎが必要不可欠です。しかし、この引き継ぎの場面で「言った・言わない」の水掛け論が日常的に発生しています。その実態は、現場で働く方々にとって、心当たりの多い状況ではないでしょうか。
患者ケアに関する水掛け論
最も深刻なのが、患者さんのケアに直接関わる場面です。例えば、「バイタルの数値に変化があったことは申し送りで伝えたはずです」「そのような報告は受けていません」といったやり取りは、珍しいことではありません。また、「食事制限について説明したのに」「いいえ、そのような指示は聞いていません」という状況も頻繁に起こります。このような行き違いは、患者さんの安全に直接影響を及ぼす可能性があります。
薬剤投与での混乱
投薬管理においても水掛け論は発生します。「臨時の投薬変更を伝えました」「いいえ、その話は聞いていません」という状況や、「痛み止めの追加投与について相談したはずです」「そのような相談は受けていません」といったケースは、現場では日常的に起こっています。これらは単なる言い争いではなく、医療事故につながりかねない重大な問題です。
設備・備品に関するトラブル
施設の設備や備品に関する情報共有でも、水掛け論は発生します。「点滴スタンドの不具合は報告しましたよ」「誰からもそんな話は聞いていない」「消毒液の在庫が少なくなっていると伝えたのに」「そんな話は聞いていません」といった状況は、業務の遅延や緊急時の対応に支障をきたす可能性があります。
夜勤帯での情報伝達ミス
特に夜勤帯では、スタッフ数が限られる中での情報共有が必要となります。「夜間の体調変化について詳しく伝えたはずです」「具体的な説明は受けていません」といった状況や、「深夜の様子はしっかり申し送りました」「重要な部分が伝わっていません」といったケースが多く見られます。疲労や緊張が高まる夜勤帯では、特に情報の行き違いが起きやすい環境にあります。
緊急時の対応における混乱
緊急事態が発生した際の情報共有も、大きな課題となっています。「救急搬送の可能性について警告したのに」「そのような緊急性は伝わっていませんでした」といった状況は、適切な対応の遅れにつながりかねません。また、「家族への連絡について指示したはずです」「誰がどのように連絡するのか、具体的な指示は受けていません」といった行き違いも少なくありません。
これらの水掛け論が発生する背景には、多忙な業務の中での口頭での情報伝達や、シフト制による職員の入れ替わり、緊急時の混乱など、様々な要因が存在します。また、聞き手の理解度や、話し手の説明の仕方によって、その内容が正確に伝わらないリスクを常に抱えているのが現状です。
「水掛け論」の語源と現代的な意味
「水掛け論」という言葉の起源は、江戸時代にまで遡ります。互いの水田に水を引く際の権利を巡って、双方が自分の正当性を主張し合う様子から生まれた言葉だと言われています。現代では、どちらが正しいのか決着がつかない議論を指す言葉として広く使われていますが、医療・介護施設においては、単なる言い争い以上の重大な意味を持ちます。
なぜなら、ここでの水掛け論は、患者さんの生命や健康に直結する可能性があるからです。情報の行き違いは、適切な医療・介護サービスの提供を妨げ、最悪の場合、重大なインシデントにつながりかねません。
「言った・言わない」問題が施設運営に与える影響
この問題が施設運営に及ぼす影響は、想像以上に広範囲に及びます。まず第一に、患者さんや入居者の方々の安全性が脅かされる可能性があります。例えば、服薬管理や食事制限に関する情報が正確に伝わっていないことで、医療事故につながるリスクが高まります。
また、スタッフ間の信頼関係にも大きな影響を及ぼします。「言った・言わない」の水掛け論が続くことで、チーム内の雰囲気が悪化し、コミュニケーションがさらに取りづらくなるという悪循環に陥ることも少なくありません。
さらに、確認作業や再度の情報共有に時間を取られることで、業務効率が著しく低下します。これは、直接的な労働時間の増加につながり、スタッフの負担を増大させる要因となっています。
水掛け論を防ぐための具体的な解決方法
このような問題を解決するためには、一人ひとりの心がけだけでなく、組織として確実に機能する仕組みの導入が必要です。まず重要なのは、施設全体でのコミュニケーションルールの確立です。情報共有の方法や、記録すべき内容の基準を明確にし、全スタッフが同じ認識を持って業務に当たれる環境を整えることが大切です。
また、情報共有ツールの活用も効果的な解決策の一つです。従来の紙ベースの記録や口頭での申し送りだけでなく、デジタルツールを活用することで、より確実な情報共有が可能になります。
最新テクノロジーを活用した新しい解決策
近年、情報通信技術の発展により、より効果的なコミュニケーション方法が実現可能になっています。特に注目されているのが、音声とテキストを組み合わせたコミュニケーションツールです。このようなツールは、単なる「記録」のためではなく、チーム全体のコミュニケーションの質を向上させる手段として活用されています。
例えば、弊社が提供しているインカムアプリ「フィールドボイスインカム」は、現場のコミュニケーションをよりスムーズにする様々な機能を備えています。発話内容が音声とテキストの両方で保存されることで、忙しい業務の合間でも必要な情報を素早く確認することができます。休憩から戻ってきた際も、テキストでサッと内容を確認できるため、「聞き逃してしまった」「よく聞こえなかった」といった心配がありません。
また、1年間の履歴保存機能により、過去の情報をチャット形式で簡単に振り返ることができます。これは「証拠を残す」ということが目的ではなく、むしろ「必要な時に必要な情報にすぐにアクセスできる」という意味で、チーム全体の業務効率を向上させます。例えば、「先週の水曜日に話し合った件について、もう一度詳しく確認したい」といった場合でも、すぐに該当の会話を見つけ出すことができます。
さらに、音声認識による自動テキスト化機能により、話した内容が自動的にテキストとして残ります。これにより、あとから「あの時の話し合いの内容を確認させてください」と気軽に確認することができ、チーム内での情報共有がより確実になります。万が一、認識誤りがあった場合でも、音声データが保存されているため、実際の会話を聞き直して正確な内容を確認することができます。
このように、最新のテクノロジーを活用することで、「言った・言わない」の水掛け論を未然に防ぎ、より確実で効率的なコミュニケーションを実現することが可能になっています。これは単に問題を防ぐだけでなく、チーム全体のコミュニケーションの質を向上させ、より良い医療・介護サービスの提供につながっているのです。
まとめ
医療・介護施設における「言った・言わない」の水掛け論は、患者さんの安全と施設の業務効率に直結する重要な問題です。この課題に対して、音声とテキストを組み合わせた現代のコミュニケーションツールは、確実な情報共有と記録の保持を可能にし、水掛け論を未然に防ぐ効果的な手段となります。
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