公開日: 2024.10.22 更新日:
2025.02.18
インカムとは?現場の業務効率を上げる活用事例と基礎知識
医療・介護施設や工事現場など、常に移動しながら働くデスクレスワーカーにとって、作業を止めない情報共有が重要な課題となっています。そこで注目されているのが、音声でのコミュニケーションツールであるインカムです。本コラムでは、インカムとは何か、その仕組みから最新のスマートフォン用インカムアプリまで、現場の課題解決に役立つ情報を解説していきます。
インカムとは

インカムは、ビジネスシーンやイベント、店舗のスタッフ同士がリアルタイムでコミュニケーションを取るために使用する無線通話機器です。その最大の特徴は、複数のメンバーが同時に会話に参加でき、ハンズフリーで迅速なコミュニケーションが可能な点にあります。
インカムの基本的な構成要素は、写真のようなヘッドセット(マイク付きイヤホン)と送信機の組み合わせです。この組み合わせにより、医療・介護スタッフ、清掃作業員、工事現場の作業員など、常に現場を動き回るデスクレスワーカーでも、手元の作業を中断することなく必要な情報をリアルタイムで共有することができます。特に、パソコンやスマートフォンの画面を確認する余裕がない作業中でも、ボタン1つでコミュニケーションが可能なため、現場での情報共有ツールとして重宝されています。
「インカム」という言葉は、「インターカム(intercom)」の略称として日本で定着しました。インターカムとは、「インターコミュニケーション(intercommunication)」の略で、組織内での相互通信を可能にする音声通信システムを指します。英語圏では同様の携帯型機器を一般的に「walkie-talkie(ウォーキートーキー)」と呼び、業務用途では「two-way radio」や「wireless intercom」という呼び方もされます。なお、英語の「インカム(income)」という収入を意味する言葉とは全く異なる意味なので注意が必要です。
インカムの業務現場での利用シーン

インカムは多様な現場で活用されています。例えば、医療現場では看護師が患者の状態をリアルタイムで共有し、緊急時には迅速に対応することが求められます。インカムの使用によって、医師や他のスタッフとのスムーズな情報共有が可能となり、患者の安全性とケアの質が向上します。
介護施設では、スタッフ間の連携を強化し、利用者に迅速かつ適切に対応するためにインカムが利用されています。特に、複数の利用者に同時にケアを行う際、インカムによる情報共有は非常に有効で、サービスの質の向上に寄与します。スタッフ間のリアルタイムな情報共有は、利用者に対する迅速かつ適切な対応を可能にし、利用者の満足度を向上させます。

宿泊施設においても、フロントスタッフと清掃スタッフ間の迅速な情報共有が重要です。インカムを利用することで、チェックインやチェックアウトに伴う業務のスピードと正確さが向上し、ゲストの満足度を高めることができます。特に、予期せぬリクエストへの対応や、清掃状況の把握などにおいて、インカムの有用性は顕著です。
工事現場では、安全性を確保しながら作業を進めるために、作業員同士の連絡が欠かせません。特に大規模な現場や騒音の多い環境では、インカムによる情報共有が安全対策の徹底に役立ちます。リアルタイムでの連絡は、危険の早期発見と対応を可能にし、作業効率と安全性の両立を実現します。
飲食店では、キッチンとホールスタッフ間での迅速なコミュニケーションが必要です。インカムを活用することで、料理の提供タイミングや顧客リクエストに迅速に対応でき、店舗全体の運営が効率化されます。これにより、顧客体験が向上し、店舗の回転率も向上します。
このように、インカムは現場の効率性と安全性を高め、スタッフ間のスムーズな連携を実現します。また、各現場のニーズに合わせて柔軟に対応することで、より効果的なコミュニケーションツールとしての役割を果たしています。
インカムの仕組み
インカムは無線通信を利用する音声通信機器で、業務用に広く使われています。インカムの仕組みは、基本的に無線周波数を使って行う通信であり、装着されたヘッドセットを通して、複数人間で同時に音声の送受信が可能です。
また、インカムには無線方式以外に、インターネット(IP無線)を活用した通信もあります。このタイプでは、インターネットを介して通信するため、距離の制約が少なく、障害物の影響も受けにくくなっています。このため、広範囲での通信が必要な場合にも対応可能です。
さらに、プッシュトゥートーク(Push To Talk)と呼ばれる、ボタンを押すだけで瞬時に音声を共有できる技術を採用しているため、迅速なコミュニケーションが可能です。この技術のおかげで、複数のスタッフが同時に情報を共有/確認することができ、業務の円滑化が図られます。例えば、医療現場では、看護師が患者のバイタルサインや症状の変化を即座に他のスタッフに伝えることができます。これにより、迅速な医療対応が可能となり、患者の安全性が確保されます。また、介護施設では、スタッフが利用者の状況をリアルタイムで共有し、必要に応じてすぐに連携を取ることができるため、質の高いケアが提供されます。
インカムと電話、トランシーバーの違い
インカムと電話は一見似ているように思えますが、その目的と仕組みには大きな違いがあります。電話は主に1対1でのコミュニケーションツールとして広く普及しています。しかし、現場での情報共有において限界があります。例えば、病院では今でもPHSが活用されていますが、ナースコールへの対応時に誰が対応したのかがスタッフ間で共有されにくく、重複した動きが発生しがちです。
一方、インカムは複数の利用者がグループ内で同時に情報を共有できる手段です。ハンズフリーで通信できるため、作業を中断することなく、必要な連絡を取ることができます。この特徴は、医療、介護、宿泊施設など、スタッフ間の緊密な連携が求められる現場で特に効果を発揮します。
トランシーバーは、送信と受信が一体になった携帯型無線機です。インカムはこのトランシーバーにヘッドセットやイヤホンマイクを組み合わせたものを指します。トランシーバー単体では手に持って使用し、内蔵スピーカーから音声が外部に漏れる一方、インカムはヘッドセットで両手が自由に使え、音声も外部に漏れにくいという特徴があります。
このように、インカムは電話やトランシーバーとは異なる特徴を持つコミュニケーションツールとして、様々な現場で活用されています。特に、従来の無線インカムでは通信範囲の制限や機器の導入コストなどが課題でしたが、現在ではそれらを解決する新しい選択肢が登場しています。
スマホを活用した次世代のインカム

お手持ちのスマートフォンにインカムアプリをインストールすることで、イヤフォンマイクを接続することで、従来のインカムと同様に、さらにはそれ以上の性能を持つコミュニケーションツールとしてインカム機能を利用できます。
自社のスマホインカムアプリ「VOYT CONNECT(ボイットコネクト)」も、現場の効率性とコミュニケーションをさらに向上させることができ、従来の無線機から変わるものとして導入が進んでいます。

スマホアプリならではの特徴として、AIによる文字起こし機能があります。音声をリアルタイムで自動的にテキスト化し、アプリ上で確認することができるため、記録を残す必要がある場面や、後で内容を振り返る際に非常に役立ちます。
また、スマートフォンだけでなく、パソコンやタブレットなど様々な端末で利用可能です。インターネット通信を活用しているため、異なるフロアや遠隔地でも、通信環境さえあれば場所を問わず連携できます。これにより、コミュニケーション内容を共有・記録するだけでなく、より広範な情報共有が実現でき、業務の効率性が向上します。
通常のLINEなどのコミュニケーションアプリのような使い心地で、プッシュトゥートークで連携も即座に可能、専用機器が不要でイニシャルコストも抑えて利用を開始することができるため、医療、介護、宿泊施設などで導入が進んでおります。
まとめ
本コラムでは、インカムの基本的な仕組み、電話やトランシーバーとの違い、具体的な利用シーン、そしてスマホインカムアプリの活用について詳しく紹介しました。インカムは、医療、介護、宿泊施設、飲食店、工事現場など、多くの現場において迅速で効率的なコミュニケーション手段として重要な役割を果たしています。
特に、当社のスマホインカムアプリは、現場の課題を解決し、スタッフ間の連携を強化することで業務の質を向上させる強力なツールです。スマートフォンとの連携により柔軟な運用が可能であり、今後さらに多くの現場で導入が進み、コミュニケーションの改善に貢献することが期待されています。
弊社では、スマートフォンの導入から一括してサポートを提供しておりますので、ぜひ導入をご検討いただければ幸いです。