導入の背景
プレミアムなゴルフクラブとして「おもてなし」を重視し、顧客サービス向上に注力
千代田カントリークラブは、業界最大手のゴルフ場マネジメント会社であるPGMが運営するチャンピオンコースを有するハイグレードなゴルフ場だ。茨城県かすみがうら市にあり、首都圏からのアクセスがよく、全27ホールで構成されたフラットな林間コースでは、季節ごとに変わる美しい景観のなかで戦略性とゴルフファンの心をくすぐるさまざまな工夫にあふれたコースレイアウトが堪能できる。
同クラブには、国内外から訪れるVIP客も多く、スタッフやサービスに対する期待や要求も非常に高い。「千代田カントリークラブは、特にお客さまの“おもてなし”に力を入れています。ご利用になったお客さまがたが、当クラブの高品質な“おもてなし”を高く評価してくださり、顧客満足度の高いゴルフ場として認めていただけるようになりました。」と同クラブの支配人 内山 伸次氏は語る。
同クラブでは、フロント、プロショップ、レストラン、プレーの進行管理を担うマスター室などのスタッフ同士が緊密に連携し、お客さまの動線や要望に沿ったきめ細やかなサービスを提供するよう努めている。コース変更や時間調整など、レストランでの待ち時間が最小限になるように、各部署のスタッフ同士がお客さまのラウンド状況を共有するなど、ゴルフ場に着いてから帰るまでの時間を存分に楽しんでもらえるように、スタッフ全員が心を配っている。
常にきめ細かなおもてなしが求められる中、これまでの、内線電話やトランシーバーによるスタッフ同士の連絡には課題が多かった。
導入の経緯
顧客サービス向上のため、スタッフ間のさらなる連携強化を求めて
「顧客満足度のさらなる向上を目指し、他にはない「おもてなし」を提供するための環境整備を続ける同クラブ。その取り組みのひとつが業務効率化だ。
「どのゴルフ場も人員不足という課題を抱えています。スタッフの人数が限られている中でお客さまへのおもてなしに注力し、顧客満足度を向上させるには、それぞれの業務の効率化が不可欠です」とPGM運営本部・運営推進部・マネージャーの兼次 保尚氏は説明する。
「これまではトランシーバーや内線電話を使ったり、担当者のところに行って直接伝えたりすることも多々ありました。トランシーバーはゴルフ場のような広い場所では電波が届かないことも多く、連絡が必要な際には主に内線電話を使っていました。しかし、連絡のためにスタッフが持ち場を離れてしまうと、その間は他のお客さまへのご対応ができなくなります。また、連絡があってもお客さま接客中だと応答することができません。そのため、情報の伝達が遅れてしまうこともありました」と兼次氏は言う。
顧客満足度をさらに高めるには、スタッフ同士のコミュニケーション基盤の構築が不可欠だと判断。最適なソリューションの導入を検討していたところ、加賀電子株式会社並びに株式会社城山の紹介で、Voytより「フィールドボイスインカム」の提案を受けることとなった。
導入のポイント
音声とテキストで情報をリアルタイムに共有できる点を高く評価
フィールドボイスインカムは、これまでに培った音声認識技術によってリアルタイムに会話がテキスト化され、音声と文字とで情報共有できる画期的なソリューションだ。スマートフォンを利用するクラウドサービスなので、離れた複数のエリア同士でも、クリアな音声とテキストによるコミュニケーションが可能だ。また、携帯電話回線やWi-Fi環境を利用するため、広い敷地の中にさまざまな施設が点在するゴルフ場のコミュニケーション基盤にはうってつけのソリューションといえる。
「フィールドボイスインカムを活用することで、ゴルフ場ならではの課題が解決できると考え、さっそく試験導入を経て正式導入を決めました」と兼次氏。また、これまでも無線機やトランシーバーを利用していたため、導入にあたって運用を大きく変える必要がないということも、大きなポイントとなった。
導入の効果
なくてはならないツールとして、お客さまの安心安全の向上にも貢献
「導入後は、スタッフ同士の情報伝達のスピードが上がり、お客さまへの接客の質やおもてなしといったサービスが格段に向上しました。スタッフ同士のコミュニケーションがスムーズになったことで、働きやすい環境づくりにもつながりました」と内山支配人は高く評価する。
特にお客さまとの接点が多い進行管理を司るマスター室の奥谷 真雄氏は、「フィールドボイスインカムは音声がクリアで聞き逃しが少なく、後からテキストでも見直すことができるため、コミュニケーションのミスや時間のロスが大幅に減りました」と語る。
通常、ゴルフ場はフロントのすぐそばにプロショップがあり、チェックインやチェックアウトを待つ間にプロショップに立ち寄るお客さまが多い。しかし、千代田カントリークラブの場合、フロントとプロショップがそれぞれ別の棟にあるため、連携しづらいという課題があった。その課題解決にもフィールドボイスインカムの導入が大変役立ったという。
プロショップマネージャーの芳野 聖通氏は、「導入後はフロントととてもスムーズに連携できるようになりました。ショップで購入された商品をお帰りの際にフロントでお渡しするといった連携もスムーズにできるようになり、大変助かっています。」と語る。
レストランチーフの松井 達徳氏は、「これまでレストラン内ではトランシーバーで情報共有していましたが、接客中で聞き逃したりすることもありました。しかしフィールドボイスインカムを使い始めてからは、音声連絡がテキストに残るため、あとから確認できるようになり、また天候が変わったときなどに、レストランスタッフが進んでお客さまの進行予定をマスター室と調整することもできるようになるなど、それぞれが一層効率的に動けるようになり、これまで以上にチームワークを発揮して動くことが出来るようになりました」と導入後の変化について説明する。
また、コース上でアクシデントが発生した場合、これまではスタッフが内線で個別に連絡していたため、時間がかかっていた。しかし、フィールドボイスインカムを利用するようになり、一斉連絡ができるようになり、緊急時にも迅速な対応が可能となった。「フィールドボイスインカムには、どういった状況でどんな対応をしたのかという履歴がすべて残っているため、お客さまの怪我などの場合も救急隊員へ正確な情報を伝えることができます。お客さまの安全、安心にもより貢献できると考えています」と奥谷氏。
将来の展望
「蓄積したデータを分析し、顧客エンゲージメントを向上したい」
「お客さま満足度を調査するため、PGMグループのゴルフ場ごとにアンケートを実施しているのですが、中でも千代田カントリークラブはお客さまからの評価が非常に高い。今後も、他にはない“おもてなし”を提供し続けるためにも、フィールドボイスインカムはなくてはならないツールです。さらにお客さまのエンゲージメントを高めるために、蓄積したスタッフ同士の会話情報を分析することで業務の改善点を可視化し、よりよいサービスづくりをしていきたい。千代田カントリークラブの成功事例を、当グループのゴルフ場にも順次展開していきたいと考えています」と兼次氏は期待を込める。また内山支配人も、「会話の分析やさらなる活用については、これはPGMだけでは難しいので、ぜひ他社での具体的な活用事例などを伺い、Voytの協力を得ながら進めたい」と語る。
同クラブがもっとも大切にする「おもてなし」の品質をさらに高めていくため、今後もフィールドボイスインカムを活用し、より質の高いサービスを提供していくことだろう。
※この記事の内容は2022年9月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。
<COMPANY PROFILE>
会社名:パシフィックゴルフマネージメント株式会社
設立:1986年10月1日
代表者:代表取締役社長 田中 耕太郎
本社所在地:東京都台東区東上野一丁目14番7号 アイエムタワー
事業内容:ゴルフ事業の経営管理、ゴルフ事業に係る子会社の株式保有、ゴルフ場の運営及び運営受託
URL:https://www.pacificgolf.co.jp/index.asp