2024.10.28

医療・介護現場のPHSサービス終了後の選択肢 – 継続利用のリスクと新たな通信手段の可能性

公衆PHSのサービス終了が発表されて以降も、多くの病院や介護施設では私用の無線システムとしてPHSを継続利用しています。しかし、この選択には将来的なリスクが潜んでいることをご存知でしょうか。本コラムでは、PHSの現状と課題、そして今後の選択肢について詳しく解説します。

医療・介護現場におけるPHSの現在地

PHSは当初、個人向けサービスとして安価な料金プランで若者層に支持されましたが、通信方式の特性から圏外が多いなどの課題があり、次第に携帯電話にシェアを奪われていきました。しかし、法人向けや自動販売機の在庫管理などの業務用途では広く採用され続けてきました。

医療・介護分野でPHSが選ばれてきた主な理由として、以下の特徴が挙げられます:

・携帯電話と比べて医療機器への干渉が少ない
・コンパクトで持ち運びやすい
・緊急時の連絡に適した通信品質
・施設内での使用に最適化された仕様

2023年の公衆PHSサービス終了後も、多くの医療・介護施設が既存のインフラ活用やスタッフの使い慣れた環境維持のため、「構内PHS」として運用を継続しています。一見、問題なく機能しているように見えるこの選択ですが、実は施設運営に重大な影響を及ぼしかねない課題が潜んでいます。

継続利用がもたらす3つの重大なリスク

まず、その一つが、保守・メンテナンス面での深刻な課題です。2023年以降、主要メーカーの生産終了により新規端末の調達が困難になっているだけでなく、修理対応できる業者も減少の一途を辿っています。

二つめに、システム面での制約が施設運営に大きな影響を及ぼしています。医療・介護のDX化が急速に進む中、電子カルテの新システムとの連携において、タイムスタンプ付き記録や画像送信などの新機能に対応できないケースが増えています。さらに、ナースコールシステムの更新時には、PHS連携機能を持たない新型システムが主流となっており、別途高額な改修費用が必要になるという問題も発生しています。位置情報や在室管理などの新しいIoTソリューションとの統合も技術的に困難で、施設全体のDX化を進める上で大きな障壁となっています。

運用面でも大きな課題があります。故障時の代替機確保が困難になることで、緊急時の業務継続に支障をきたすリスクが高まっています。また、新入職員への教育コストも決して小さくありません。若手スタッフにとって、すでに一般的ではなくなったPHSの操作習得は、余計な負担となっているのです。

PHSに代わる新たな選択肢

医療・介護現場でのPHSに代わる通信手段として、主に3つの選択肢が検討されています。

従来型の業務用無線機スマートフォンと一般的な通話・メッセージアプリの組み合わせ、そしてスマートフォンと専門のインカムアプリの組み合わせです。それぞれの特徴を見ていきましょう。

従来型の業務用無線機は、耐久性が高く操作も単純なため、導入時の教育コストを抑えられるというメリットがあります。しかし、通信可能な範囲が限られ、施設の構造によっては十分な通信品質を確保できないという課題があります。また、テキストでの情報共有や他システムとの連携が難しく、将来的なDX推進の観点からは限界があると言えるでしょう。

スマートフォンと一般的な通話・メッセージアプリの組み合わせは、導入コストを抑えられる反面、業務利用に特化した機能が不足しています。特に緊急時の一斉通報や、患者情報の取り扱いにおけるセキュリティ面での懸念が指摘されています。また、個人のスマートフォンを業務利用する場合のルール策定や、プライバシー管理の問題も生じます。

スマートフォンと専門のインカムアプリ導入のメリット

これらの課題を解決する選択肢として、スマホと合わせて専門のインカムアプリの活用が注目を集めています。この最大の特徴は、従来のPHSが持つ基本的なコミュニケーション機能を踏襲しながら、現代の医療・介護現場が求める新たな価値を提供できる点です。

特筆すべきは、音声会話を自動的にテキストに変換し記録できる機能です。すべての会話内容が自動的にログとして保存されるため、重要な申し送り内容を後から確認したり、「言った・言わない」といったコミュニケーション上のトラブルを防いだりすることができます。また、患者さんの前での通話が難しい場面では、テキストメッセージの送受信も可能で、状況に応じて柔軟なコミュニケーションが実現できます。

また、インターネットもしくはWifi環境さえあれば、建物の構造や階層に関係なく通信が可能となり、PHSで課題となっていた通信範囲の制限も解消されます。さらに、電子カルテやナースコールなど、既存の医療システムとの連携も容易で、施設全体のDX推進にも貢献します。

セキュリティ面でも、専用アプリならではの強みがあります。通信内容の暗号化や、アクセス権限の詳細な設定により、医療情報の安全な取り扱いが確保されています。

このように、専門のインカムアプリを活用したスマートフォンソリューションは、単なるPHSの代替としてだけでなく、医療・介護現場の業務改革を推進する基盤として機能することが期待できます。

スマートフォンと専門のインカムアプリ導入の注意点

一方で、導入にあたっては慎重な検討が必要な課題も存在します。

まず、端末代や通信費用、アプリのライセンス料、Wi-Fi環境の整備など、一定の初期投資とランニングコストが発生します。また、スタッフへの使用方法の教育や、端末の充電管理、私用利用の防止といった運用面での取り決めも重要です。さらに、ネットワーク障害やサーバーダウン時の業務継続に向けた代替手段の確保も必須となります。これらの課題に対しては、事前の十分な計画と対策を講じることで、円滑な導入・運用が可能となります。

導入実績と成果:500施設が選択した理由

弊社のスマホインカムアプリフィールドボイスインカムは、すでに500施設以上での導入実績があり、利用継続率は99%以上という高い満足度を維持しています。この数字が示すように、現場のニーズを的確に捉えた機能と、手厚いサポート体制が、医療・介護現場での円滑な運用を支えています。

現場からは特に、音声とテキストの使い分けによる業務効率の向上が高く評価されています。例えば、夜間帯の申し送りでは、テキスト入力された情報が音声で伝達されることで、患者さんの睡眠を妨げることなく確実な情報共有が実現できています。また、緊急時の一斉通報機能により、重要連絡がより迅速かつ確実に伝達されるようになったとの声も寄せられています。

また、先ほど述べた課題に対応するため、弊社ではインカムアプリのみのライセンス契約だけでなく、スマートフォンの調達から、データ通信用のSIM準備、端末管理システム、スタッフ教育まで、導入に必要なすべてのプロセスをサポートする「おまとめプラン」をご用意しています。専門のサポートチームが、お客様の施設の状況に合わせた最適なソリューションを提案し、円滑な導入・運用をお手伝いいたします。

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まとめ

PHSの継続利用は、確かに短期的には有効な選択肢かもしれません。しかし、修理やメンテナンスの困難化、システム連携の制約、将来的なコスト増加など、中長期的には様々なリスクが存在します。今こそ、将来を見据えた通信インフラの刷新を検討すべき時期なのではないでしょうか。

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